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半島 (文春文庫) 価格: 690円 レビュー評価:4.0 レビュー数:4 ふとした契機で「異界」に足を踏み入れ、出てきたときには、入ったときとほんの少しずれた場所にいる。そんな感覚を味わうことができる作品です。「異界」は、村上春樹の「深い井戸」的な雰囲気がありますが、現実と「異界」とのつながり方が村上春樹作品とは違います。作品中の描写は、官能的なまでに身体(この作品では「躯」と書かれますが)に寄り添っているのが特徴です。フランス思想の研究者だけに、どこかフランス思想に似た薫りがします。 |
伊奈半十郎上水記 価格: 1,995円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 主人公となる伊奈半十郎忠治や伊奈半左衛門忠尊などは、歴史に詳しい人でないと知らないと思う。 自分も無知ゆえに、もちろん知らなかった。 しかし面白い。グイグイと迫ってくる力強さがある。 関東郡代として、代々に渡って治水事業に携わる伊奈家。 河川の氾濫によって、被害に苦しむ村人たちと共に苦闘しながら、自然の脅威に敢然と立ち向かい続ける。 その姿自体に、人がどこまでのことを出来るのか、挑む姿勢に惹かれていく。 資料の散逸によって評価されることなく忘れられそうになっている伊奈家に、何とか光を当てようとする作者の熱意と相まって、非常に印象的な一書になっている。 |
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漢文入門 価格: 1,260円 レビュー評価: レビュー数: |
おぼれる人生相談 (角川文庫) 価格: 580円 レビュー評価: 4.0 レビュー数:3 あの松浦理英子が人生相談?そんな理不尽な。というのが本書を発見した時の素直な感想。あるいは作者はその毒舌でもって悩める相談者を突き放し、子羊たちはその攻撃に呻きながらもマゾヒスティックなカタルシスを得てしまう、そんな逆説的な人生相談を予想したりもした。しかしあろうことか、作者は真面目に、しかも前向きに相談に乗っているではないか。これには驚いた。 取り上げられている悩みは親兄弟との確執、自分の身体や性格へのコンプレックス、恋人や友人など人間関係の悩みが主体。「アナルセックスを試したいのですがウンコが汚くて踏み切れません」とか「自殺したい。松浦さんの回答を見てから死にたいと思いますので相談に |
裏ヴァージョン 価格: 1,365円 レビュー評価:4.5 レビュー数:6
極めて周到かつテクニカルな作品である。
手紙に書かれた一種の虚構を主人公たちが交換していくうちに
物語的現実と虚構さえ入り混じり、読者は
語られる事物のスタンスさえ特定できない不安感を味わう。
その不安定さの中で、求め合う二人と、その別れ。
それは悲劇であるが、その別れ自体も虚構の範疇に絡め取られる、
一筋縄ではいかない作品と作者である。 |
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